研修のゴールを決定するために教授分析を行いましょう
研修のニーズが決まったら、そのニーズをもとに研修のゴールを決めていきます。
研修で何に取り組むべきかではなく、研修を修了したときにどのような知識やスキルを身につけているべきかということを考えていきます。カークパトリックの4段階評価のレベル2「学習」とレベル3「行動」の部分を分析していくことになります。
また、研修を受けるための前提条件、事前知識やスキルの基準はあるのか、次の研修に続くのであれば、この研修で学んだことの何が次の研修での前提条件になるのかも併せて検討するとよりよいでしょう。
研修のゴールを決めるためには、「学習」「行動」に書かれている内容を分類します。それは学習成果を分類するということでもあり、大きく分けて5つに分類していきます。
1.言語情報。言葉で述べることができるような知識のことです。対象について知っていることで、宣言的知識とも呼びます。これは次に説明する知的技能の学習にとって必須の要件にもなります。
2.知的技能。ルールや原理の適用のようなシンボルを使いこなす能力のことです。何かを実行する能力のことであり、その知識のことを手続き的知識と呼んでいます。言語情報が「知っていること」であれば、知的技能は「出来るようになること」になります。この2つは似ていますが、峻別する必要があります。
3.認知的方略。学習の仕方のことです。つまり、注目・学習・記憶・思考する方法を選択したり、修正したりする過程を指しています。
4.運動技能。自転車の乗り方や文字の書き方などの体の動きにかかわる能力のことです。
5.態度。特定の事物、人、状況に対して積極的なあるいは消極的な反応を増幅することを指しています。態度は特定の行為を選択する傾向に影響するため、受講前後での行動の選択変化を観察すると態度を推測評価することができます。
研修に含まれる学習成果は一つではないかもしれません。しかしこのように学習成果を分類することで、研修の目標をより明確にすることができます。
また、分類を明確にすることで学習の計画や評価方法について既存の研究を応用することができるようになりますし、研修を改善していくときの枠組みとしても利用することができるようになります。
次回からはこの5つの分類をひとつずつ見ていくことにします。