Develop(開発)知的技能・定義された概念
概念を便宜上具体的概念と定義された概念に分けて説明しています。
具体的概念は事物などの実際に目に見えるものや触れるものに関する概念でした。
定義された概念は物理的には存在しないもの、例えば愛、嫉妬、保守、帝国主義等のことを指しています。
物理的概念はそれぞれの物事の特徴をグループ化してまとめることで概念を形成していました。定義化された概念では物事の特徴ではなく、その定義に合っているかどうかで判断し、結び付けていきます。
例えば保守は辞書では次のように定義されています。
①正常な状態などを保ち、それが損じないようにすること。
② 旧来の習慣、制度、組織、方法などを重んじ、それを保存しようとすること。また、その立場。
保守を見分ける物理的な特徴はありません。その人物の行動や特徴が保守の定義に合うかどうかを考えていくことになるのです。
従って、定義された概念を学ぶときにはその定義を学び、その定義に合っているかどうかを判定できるようにならなければなりません。共通の特徴を見つけ出し、ひとくくりにする具体的概念とはそこが違います。
定義は基本的には概念を複数寄り集めて形成されます。従って、定義された概念を学ぶということは、どの概念がどのように内包されているかということを学ぶということになるのです。
そのため、前提として定義に内包される具体的概念は学んでいる必要があります。また、態度や認知的方略、言語情報を学んでいた方が学びやすくなるでしょう。
定義された概念を教えるためには、定義に含まれる概念を特定し、定義を伝え、定義に合っている代表例、あっていない代表例を伝えながら、定義に合う例を同定する練習をしてもらうというやり方になります。時間をおいて繰り返した方が知識が定着しやすくなります。
定義された概念が学べているかを評価するときには、実際にその概念に含まれるものを示してもらうというのが効果的になります。
定義そのものを言ってもらってもいいのですが、ただ言葉を暗記しているだけかもしれず、本当にその定義に従って事象を同定できるかどうかは別途確認する必要があります。