研修のニーズを決めましょう
前回からの繰り返しになりますが、ニーズとは現状と望ましい状態のギャップであるといわれています。そのため、現状と望ましい状態の両方をしっかりと確認する必要があります。
また、現状を定量化することによってゴール達成までの進捗度を測定できるようになります。
ニーズを決める際には、以下の質問を考えていくとよいといわれています。
1.受講者の教育におけるどんな目的にかなうのか?
2.一般的な教育研修か、専門スキルの研修か?
3.学習活動と評価方法に関して、意味を答えられるか?
4.研修が仕事に対してどれほど重要か?
5.研修で学ぶことの何が、仕事上の行動変容の基礎として重要か?
6.社会的なニーズは何か?
7.研修者の個人的な成長にどのように働くか?
8.この研修を受講できるための前提条件は何か?
9.その前提条件を受講者に説明するために何をしなければならないか?
10.継続でいくつかの研修を行う場合、この研修で学んだことのなにが次の研修で
活かせるのか? それは受講者にとってわかるようになっているか?
11.研修の開発にどれだけの時間をかけることができるか?
12.利用できる既存の教材はあるか?
13.どこで自己管理学習を取り入れることができるか?
14.実際の状況への応用に結び付けながら、研修内容の正しさを最大限に引き出す
ために、どのような学習活動を盛り込めるか?
研修のゴールが社会的なニーズに合致する場合、研修全体を計画するために理想的な 条件が得られるといわれています。
私たちの暮らしている社会は、人々のニーズを満足させる様々な機能を担っていますが、その一つはニーズを満たすような学習が行われるというものです。社会における個人の役割実現をはじめとした社会の役割実現を果たせる活動を教育するということは、その教育を受ける人のニーズも満たせるのです。
例えば、保険営業の研修のニーズを考えてみる場合に、売り上げ目標の必達という ニーズだけでなく、保険を契約してもらうことによって社会に安全と安心を広めていくといったように、社会的なニーズまで含めて考えると受講者のモチベーションにも良い影響を与えるでしょうし、「どのようにやればよいか」という研修のゴールを導き出すことができます。
また、職場との関連性が高いほど受講者が認識する重要性が高まり、一生懸命行うというのはARCSモデルのR(関連性)でご説明してきたことになります。
そして費やせる時間や資源にも目を配る必要があります。
研修は何かの問題を解決するために実施されるというのは前回もご説明させていただいた通りですが、問題を解決する方法は研修だけではありません。
他の方法と比較して最も費用対効果の優れた方法を選択することが大切ですし、そうすることで研修の効果を高めることにもつながります。