研修の目標を明示することは大切です。
教育というと、学校を思い出される方も多いのではないでしょうか。
研修を企画されるときも学校教育の延長線上で、何かを「教える」研修が多いのではないでしょうか。
それも一つの方法として間違いではないかとは思いますが、それだけでは不十分なのです。学校とは異なり、受講者が子供ではなく、大人であるからです。
では、子供から大人に変わると何が変わってくるのでしょうか。ペダゴジーとアンドラゴジーという学習理論があります。
ペダゴジーは子供を対象にした学習理論、アンドラゴジーは大人を対象にした学習理論です。この学習理論を比較すると様々な違いがありますが、注目していただきたいのは、大人に成長するにつれて依存的状態から自己決定性が増大していくこと。つまり何をいつどのように学ぶかを自分で決めていくようになるということです。
中学生や高校生の頃、「これを学んで何の意味があるのだろう」と思ったことはありませんか?
そう思った教科は、得てして身が入らなかったり、取り組むのに自分を納得させる必要がなかったでしょうか。学生時代はすべての教科を学ぶことが求められており、また受験や試験という必要性がありましたが、社会人になるとよりその傾向は顕著になっていきます。
つまり、より学ぶ目的が必要となってきますし、学習を選択していくようになります。逆に言うと学ぶ必要性があると思わないものに関しては学習しないということなのです。
ですので、集合研修のような強制参加の研修であっても、まず第一にその研修を学ぶ必要性があると思ってもらう――選択してもらうことが重要になってくるのです。そのためには、研修を学ぶことで何が得られるのか、すなわち研修の目標を明示することが大切なのです。
ではどのような研修がより選択してもらいやすくなるのか、より魅力的な研修にするにはどのようにすればよいのかを、次回ご説明させていただきます。