ARCSモデルのR(関連性)

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研修へのモチベーションを高めるためにはARCSモデルを用いるのが効果的です。 今回はARCSモデルのうちR(関連性)についてご説明させていただきたいと思います。

以前ご説明したアンドラジーという学習理論を思い出していただきたいのですが、 成人学習では子供の学習と比較して、より合目的的であり、自己の経験を参照しながら学習していくという傾向が強くなります。そして、課題を解決しなければならないと 感じたときに、学習意欲は高まるのです。

つまりRelevance(関連性)を検討する際には、アンドラジーで指摘された成人学習の特徴を学習意欲に当てはめて考えていくことになります。

 

研修の目標を明示し、その有用性や意義を強調する、あるいは研修で学んだ成果を生かす場面を例示して具体的に指し示すことで、目標指向性を高め、学習意欲につなげる ことができます。

例えば、クレーム対応の研修を行うとします。その際に店長研修とか主任講習といったように目標も伝えないまま研修を実施するのと、「クレームをその場で解決する」であったり「クレーム対応専門部署へのスムーズな引き継ぎ方」であったりといった目標を具体的に明示するのとでは学習意欲が異なってきますし、今回学んだ成果をスタッフの指導にも応用できるとか、自身がクレームを受けた際に対応方法を分別できる等々具体的に例示するとより学習意欲は高まります。

 

あるいは、今までの研修内容や参加者の方々が経験し達成してきたことを整理し、今回の研修内容とどのような関連があるのかを説明することで、また研修の途中で参加者の実際に体験した具体例や似たような事例、聞いたことのあるような事例などを織り込むことでも、参加者と研修の関連性が強化されます。

例えば、営業3年目研修を実施した場合を考えてみましょう。事前に参加者の過去の 商談内容をまとめて提出してもらい、研修の冒頭で提出してもらった内容を整理しながら、研修内容と関連付けていく、あるいは研修の途中でディスカッションしてもらう お題を、提出してもらった商談内容をもとに作成するなどといった工夫をすると、  親しみやすさを感じてもらえます。

 

最後に動機との一致ですが、プロセスを楽しむことと個人的興味との合致と言い換えてもいいかもしれません。興味と内発的動機付けに関する研究から得られた、学習内容と内的な興味かあるいは状況的な興味が結び付けば学習意欲は高まるという結論をもとにしています。

例えば、「戦国武将から学ぶ営業」とか「マーケティングRPGで喩えてみた」の  ようなビジネス書は個人的興味、即ち趣味と合致させて学習意欲を高めていますし、 グループでのディスカッションを多く織り込んだり、ゲームなどの個人同士の競争を 混ぜたりすることで研修のやり方に熱中してもらえれば、自然と研修内容へも学習意欲が高まっていくのです。

 

今回は関連性(Relevance)についてみてきました。次回は自信(Confidence)について考えていきたいと思います。