ARCSモデルのS(自信)

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ARCS理論の説明の最後S(自信)についてです。

自信は今までの3つの項目と少し異なっています。今までの3つの項目は学習に対する動機付けでしたが、S(自信)は学び意欲を持続し続けてもらうための目標になります。

学び続けてもらうためには、内発的な動機付け、つまりそれを学ぶこと自体が面白いと思ってもらうことと、外発的な動機付け、即ち報酬であったり目的の達成のために学んでもらうという二つの動機が必要になります。

また、その際に得た成果と掛かった作業や時間の負担が見合っているか、あるいはほかの受講者と比べて公平に扱われていないと感じてしまうと満足感は下がってしまいます。

 

内発的な動機付けは、個人的な興味関心だけでなく、個人的なコントロールや能力の向上を実感できることによって生まれてきます。そのため講師が興味関心を持ってもらうための取り組みを行いすぎると、受講者がやらされていると感じ内発的動機付けが低くなってしまうため、学習成果つまり能力の向上を感じてもらえるよう実戦的な練習や課題をこなしてもらったり、称賛するのが良いのです。

 

一方の報酬に関しては、昔からある方法です。証明書や賞、小物であったりお金、あるいは成績などもこれに入ります。一点注意しなければならないのは、あまり頻発してしまうと慣れてしまい、効果が失われてしまうということです。そのため、時機を見計らって単発的に行うのが良いです。

 

最後の公平感ですが、他の人と比べて公平であるかどうかというのも満足度に大きく影響します。自分よりも低い点数の人が自分よりも良い評価であれば満足感は下がります。反対に自分に有利な結果であったとしても不公平であり、不満をもたらす結果となります。

また、公平さを感じてもらうには、一貫性が重要となります。つまり、最終試験で研修で習ったこと以上の問題が出されたり、反対に研修で出された課題より簡単な問題であったりすると一貫性がなく、公正さを感じないのです。

 

ここまでARCSモデルを説明してきました。

社会人の教育は学生と比べてより自己選択性が増します。そのため、その研修のための学習意欲を持ってもらう必要があるのです。

そのためにはARCSモデルで考えていくとよいのです。ARCSモデルはどれか一つだけ突出してよければいいわけではなく、すべての要素を検討する必要があります。これらのすべての要素が満たされることで、研修はより魅力的なものになっていきます。