Develop(開発)認知的方略
認知的方略の学び方についてです。認知的方略は「注目・学習・記憶・思考する方法を選択したり、修正したりする内的過程」と定義されます。簡単に言うと、学び方・考え方ということになります。
認知的方略を学ぶためには前提の知識(知的技能と言語情報)を思い出してもらう必要があります。そのため、事前に前提となる知的技能は身につけておくことは必須となりますし、知的技能や態度、言語情報を学んでおくとより学びやすくなります。
認知的方略を教えるためには、まずどのような認知的方略であるのかという概要や学ぶ目的を伝えることが必要です。その後、実際を説明するか実演していきます。
例えば受験で出るような数学の難問を解くための認定的方略を教えるとします。前提としてその問題で使用する公式などの知的技能は必要ですが、どのように考えて問題を解いていくかという認知的方略を学んでおかないと、受験本番で同じ種類の問題は解けません。
この考え方を教えるには、まずどう考えるかという概略を伝え、その後実際に例題を解いていきながら説明をしていきます。その際に生徒がどの状況でどの公式を使うと早く解ける等の気付きがあると、よりその認知的方略を使う頻度が増えます。
そして、この考え方を身につけてもらうためには、この考え方でよい結果が出るということをわかってもらう必要があります。つまり、先ほどの数学の問題でいえば、解き方は何種類かありますし、どの方法で解いても正解までたどり着けます。ただし、教えた考え方で解いた方がより早く、より正確に答えにたどり着けるということになれば、その考え方で問題を解いていくでしょうし、自己流の今までの考え方のほうが解きやすいと思えば、教えた認知的方略は使わなくなります。
学んだあとには練習を重ねることで認知的方略は身についていきます。
最終的には、同じ種類の問題を見たときに無意識のうちに自動的にその方略を選択できるというところまで、到達させることができるのです。
認知的方略、考え方を教えるには、どんなルールを使うのかを説明し、どのように考えて使っていくのかを例示しながら学んでもらうと効果的に教えることができます。そして練習を重ねて身につけるということが必要になってきますが、練習問題は同じシチュエーションだけでなく、様々な新しい状況を組み込みながら練習するとより効率的に学ぶことができます。
認知的方略は問題に対する「やり方」ではなく「考え方」になりますので、身についたかどうかを評価するには、単純にその問題を解決できたか、課題を達成したかどうかではなく、どの程度上手に解くことができたのかという質的な部分を評価する必要があります。質を評価するための明確な基準というのは決めるのが難しいため、複数人で評価し、合議して評価を決めるという方法をとるケースが多いです。
もし厳密に評価するのであれば、前提条件としての知的技能、知識や概念、ルールというのは最近学んでいなければならず、なおかつ必須とされる前提知識・スキルはすべて習得済みである必要があります。つまり、必要な知識やスキルの不足による不利がないように、最近学ぶあるいは学びなおしてもらうことで独自性を発揮する機会を均等にしておくというのが公正性を保つポイントになるのです。