Implementation(実施)小集団に対する研修

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次に少人数での研修の実施についてみていきましょう。少人数といってもどこまでを少人数とするか、いろいろな考え方があるかと思いますが、今回は8人までを少人数として取り扱います。つまり、3~8人の集団に対しての研修の実施方法について特徴を見ていきます。

小集団を選抜するときには事前テストによって集団のレベルを統一しておくことがお勧めです。そうすることによって一斉指導をしながら個別指導の要素を取り入れることができます。

個人個人のレベルが離れていると、つまり前提条件が不足している場合には差異が際立ってしまい、研修の実施が難しくなるでしょう。

研修を実施する際には、全体に説明する場面と「多学習者個別指導」といわれるような順番に個別指導を織り交ぜる方法が一般的です。

つまり全員に伝えなければいけない教授事象を全体に伝え、それを理解できたかあるいは達成しているかを順番に質問をしていき回答を得ながら、各個人に合わせて教授事象を修正して運用していくという形になります。質問の例題は各人によって変えることによって指名された受講者以外もその質問について考えることでより学習の保持と転移が促進されます。

また、小集団研修の実施方法としてもう一つ特徴的なものはディスカッション(討議)です。ディスカッション形式では双方向にコミュニケーションをとることができ、一人の発言に対して他の人が反応し、それに対してまた反応していくというような形で行われます。

ディスカッション形式は1.内容領域の習得、2.態度の形成、3.問題解決力の育成に効果的であると考えられています。

態度形成及び変容に関しては問題指向型ディスカッションが効果的であるといわれています。社会問題に関して冒頭に説明を受け、それに関してディスカッションをしていき最終的に大きな不一致のない形でグループの意見を集約するというディスカッションです。この方法では多数の人間モデルが参加することになりますし、その実際の行動やグループとしての合意形成を図る間にもフィードバックを受け続けることができます。

問題解決を目標としたディスカッションで最も効果があるのは、複数の解決法がある課題と態度的要素が含まれる課題の時であるといわれています。

この形式のディスカッションの場合には研修者自身の自己制御によるところが大きくなります。従って課題を設定する際には興味や感動を喚起する課題を設定することで動機づけを図る必要があります。また態度変化に関しては二次的な成果であり、あくまでも問題解決能力の育成を目標にした方が良い結果になります。